4校(関西学院、県立西宮、報徳学園、仁川学院)は今年で13年目を迎えた。思えば
県立西宮高校の吉永陽一先生が私に「お近くですし合同練習しませんか?」と誘って
くださったのが始まりだった。多分平成2年の西宮市高等学校吹奏楽連盟の定期演奏会が
終わったときだった。当時は悪くても関西大会金賞、全国大会へも何度か出場している
県立西宮高校と地区大会でよくて銀賞の仁川学院とでは実力も意識もまったく違った。
吉永先生は「それでもお互いの勉強になる」と強力に推し進めてくださった。
合同は県立西宮、報徳学園、仁川学院の3校。曲はホルストの惑星より「火星」と
「ユーミン・ポートレート」。練習計画も楽器の配置も編成も今と違って全て教員で
決めた。挨拶や返事もまったくせず、それよりもこちらが無我夢中で余裕がまったく
なかった。ただただ襲い掛かっている轟音と生徒たちの気迫に倒れないように立って
いるだけだった。どうすればよくなるとか、どこを変えたらいいとか、手探り状態で、
生徒には迷惑をかけっぱなしだった。失敗だらけで成功がなかった。吉永先生は
よくこれで私に指揮指導をさせたな、と思う。確かに私の勉強には大いになったが。
仁川の生徒たちも学校で固まっている状態で、パート練習でも練習になって
いなかった。チューニングもその他すぺてのことも県西の生徒がやっていた。
しかし、本番を終えると不完全な本番にもかかわらず、心の中から充実感が
湧いてきた。70名くらいのバンドを指揮できた満足感もあった。
それを考えると、今の仁川があるのはまさに合同のおかげで、それ以降コンクールの
成績も上がってきたし、クラブ内での練習や雰囲気もよくなってきた。何よりも部長、
副部長の責任が重く、それを何とかしようとする努力も見えてきた。幹部としての自覚を
はっきり持つようになってきた。練習の内容も充実してきた。今では報徳学園の部員が
出稽古?に来るほど。西宮高校など4校のOBやその友人たちが指導に来てくれたりも
する。いいことずくめだが、ただひとつ大きな副作用は私の休みがなくなった。今まで
「練習せい!」と言ってきたそのつけが回ってきたようだ。うれしい悲鳴である?
4校のことを考えても、今年の「呪文とトッカータ」を演奏できるようになるまで、
それぞれがよく成長して、4校ともコンクールでは地区大会を勝ち上がり兵庫県大会に
出場し、アンサンブルコンテストにも出場するようになった。特に報徳学園の9年ぶりの
出場で金賞で地区大会へ進出、アンサンブルも3つとも出場を果たすなど成長には
目を見張るものがある。関西学院は県大会、県立西宮は関西大会の常連となり、
さらなる飛躍が期待される。ライバルであり、よき友人同士となった4校生徒たちの
成長に期待したい。
「呪文とトッカータ」を指導する県西の吉永陽一先生
あんなふうに指揮指導できたら楽しいだろうなぁ
先生は「真剣勝負の遊び」といわれているが、その通りに見える
関学、県西、報徳、仁川の合同も連続13年目を迎えた
人数はさらに更新 158名限界に近い